開業をお考え
の先生方へ
開業前から開業後の不振
2007年に当時勤務していた市立奈良病院医長の職を辞し、自分の提供できる医療を実現したいと思い、開業を決意しました。
ただ開業場所を探すのに大変苦労いたしまして、それこそ近畿一円を探し周りました。毎週どころか、当時は常勤の職がなかったので平日も足しげく、関西一円を探す。そして結局一年近くもの間、非常勤で生計を立てながら物件探しを続けることになりました。
今でこそ初めに開設した苦楽園クリニックはお陰さまで多くの患者さんの信頼をいただいておりますが、開業直後は、毎日本当に暇でしたし、予想外とトラブルの連続でした…
開業当時は患者が全く入らなかった・・・
患者さんが来ていなくてもスタッフにはもちろんお給料を払わないといけないし、そのスタッフが手持ち無沙汰で何もすることがなくぼーっとしているのを見ると、余計自分自身が情けなく、将来のことをすごく不安に思ったことはありました。新しく採用したスタッフが、次の日になって急に連絡もなく来なくなることがありました。
笑顔が素敵で雰囲気も良く、受付の顔として非常に期待していた人材が何の連絡もなく、そして、電話にも出てくれないと。その時に、今までにない感覚、医療業界で医師として仕事をしているなかで、そのような急にいなくなり関係性がなくなるといった経験をしてこなかったものですから、非常に大きなショックを受けたのを今でも覚えています。
何もわからないので営業マンの言われるがままでした・・・
営業マンの上手い言葉に乗せられて、ドブに捨てるような広告費を計上したこともありました。
雑誌の取材記事ということで、雑誌社の方が飛び込みでやってきました。有名な元プロ野球選手のインタビューということでお話しを受けたのですが、その記事そのものが、いわゆる全国紙に載るような形のもので、我々の診療圏とはまったくかけ離れた状態のところで広告を載せることになりました。もちろんのことですけれども費用対効果など出るはずもなく、ただただ自己満足に終わるような結果となりました。
スタッフ雇用でトラブルに・・・
午後診療のスタッフの欠員が深刻な時期もありました。住宅街におけるエリアにおいて、パートスタッフさんの希望というのは、午後よりも午前勤務というものを希望することが圧倒的に多いものです。
しかしながら、午前勤務のスタッフばかりを集めると、午後希望のスタッフがいない限り午前と午後のアンバランスさというものを是正することができません。そのような基本的な事実をもわからないまま人が良いと思ったスタッフを採用した結果、午前は人があふれ、午後は足りないということになり、そこでまたスタッフの不満が出るといったトラブルが集中しました。
待ち時間で患者さんが流出・・・
患者さんから待ち時間のことでお叱りをたくさん頂戴しました。
繁忙期になり、1時間、2時間待ちというのが当たり前になった時に、初めてやってきた患者さんがそのような待ち時間に堪え切れず、流出してしまいました。また、想定している待ち時間よりも多くの待ち時間を要することになり、それをスタッフに詰め寄ったり大声で怒鳴ったりするということで、警察沙汰にもなりかねない事態もあったりしました。
医療機器やホームページの運営でのトラブル・・・
医療機器やホームページの運営でのトラブルも数知れずありました。
医療機器の電子カルテが急にシャットダウンされて、その日は紙カルテで対応したり…。
またホームページにおいては、初回はリースという形で契約したのですけれども、そのホームページのドメインの所有権もデザインの所有権も先方にあるという形で、非常にこちらが不利な契約内容でした。そのような契約も、自分自身の社会における経験の少なさから相まって、今ではなんのこともない事案でありますが、その当時、まさに医師の診療としてはプロフェッショナルであったとしても世間の荒波に揉まれてない私は、多くの痛い経験というものを手に入れました。
診療どころではないくらい、人間上色々と頭を悩ませた日々があったからこそ、こうしてチームとして大きな力を発揮する礎ができるようになったのだと考えております。